■第六話「罠にはめられ銃撃される…。そしていよいよ反撃に出る!」〜1999年5月22日〜

あらすじ


茂義グループと繋がりのあった宝竜会を壊滅させた哲也
哲也は更なる情報を得るため、その足で新東和ファイナンス・専務室に忍び込み、電話に盗聴器を仕掛けた。

翌朝、宝竜会が襲撃されたニュースが流れていた。
哲也は宝竜会総長室から盗んだ2億4千万円を手に、そのニュースを聞いていた。
時を同じくして、茂義賀津夫もまた、宝竜会壊滅のニュースを聞いていた。
賀津夫は田島の無念をはらすことを誓い、そして自分の組織を破壊しようとする、まだ見ぬ敵をつぶす決心も固めていた。

一方 新東和ファイナンスの専務室では、敬雄佐野が敵の次の動きを思索していた。
宝竜会の金庫から盗まれた金と、有梨沙の身代金として奪われた2億円で、新東和の株を買いあさっているのでないかと言う佐野。
だが敬雄の調べによると、今のところ新東和の株を買いあさっているという目立った動きはないようだった。
哲也はビルの屋上から2人の会話を盗聴していたが、周波数の違いから、自分が仕掛けた盗聴器でないことに気づく。
また佐野も、念のためにと専務室を調べさせ盗聴器を発見するが、それは哲也が仕掛けたものとは別の盗聴器だった。
実は、哲也と同じく盗聴器を使って専務室を盗聴していたのは、小池真弓だったのだ。
盗聴器の発見に怒りを隠せない敬雄は、佐野に、専務室に出入りしていた者をリストアップするように命じた。
そしてその夜 佐野は、敵を倒す次の手段として、台湾のというグループと接触をはかることにもなっていた。

中国系マフィア・高との接触をはかるため、佐野は中華街に現われた。
「大上海」という中華料理店に入っていく佐野の後を追い、哲也も店に入る。
店内の客は、哲也のことをいかがわしげに物色する。
そして店主も、佐野の後を追いかけ店の奥へと入っていく哲也に厳しい視線を送った。
店を通り抜け、なおも佐野を尾行する哲也。
静まり返った建物の中に吸い込まれていく佐野に目をやりながら立ち止まった瞬間、 哲也は背後から何者かの一撃をくらった。
振り返った哲也の前に、1人の男が現われた。
激しい格闘の末、哲也はその男を倒し、男が持っていた拳銃を手に入れ、再び佐野の後を追った。

佐野の後を追い、建物の中に侵入する哲也。
廊下の先には監視カメラが設置されている。
哲也は顔がカメラに映らないよう顔面をマスクで覆い、更に奥へと進んでいく。
廊下の奥の部屋で、中国系マフィア・高と佐野が取り引きをしていた。
だが、その部屋のモニターによって哲也の姿をキャッチした高の部下たちが、哲也の元へと向かっていた。
哲也が部屋のノブに手をかけた瞬間、ドアが開き、高の部下たちが姿を現した。
高の部下たちは、容赦なしに哲也に発砲する。
哲也は4人の敵を相手に2丁拳銃で反撃するが、苦戦を強いられる。
その時、敵の撃った弾が哲也の左腕をかすめる。
4人を相手に勝てる見込みがないと悟った哲也は、その場を逃げ去り、そして、甘木のBAR「TATE」へと向かったのだった。

「TATE」の奥の部屋では、甘木が、東都経済新聞社の記者と接触していた。
真弓から手に入れた「部外極秘情報」を使って茂義グループの闇融資の一連をトップ記事とし、新聞に発表しようとしていたのだ。
そして、新東和ファイナンスの代表として、マイル石油と提携を結ぼうとしている敬雄をつぶすのも狙いだった。
甘木の計画に、「新東和自体がやばくなる」と記者は言う。
が、甘木は、「新東和なんか、いつぶっつぶれてもかまわない」と、言葉を返し た。
哲也は そんな甘木と記者の会話を、カーテンの隙間から盗み聞きしていた。
記者が帰った後、哲也はさっきの言葉の意味を甘木に問い詰めた。
甘木は「これが俺のビジネスだ」と言わんばかりに、哲也の言葉をはねのける。
甘木の言葉を聞き、甘木の頭に銃先を向ける哲也。
そして、茂義のネタを新聞にすっぱ抜くのは1日遅らせろと命令した。
だが甘木は、「敵にわざわざ塩を送る必要はない」と、哲也の言葉に応えようと しない。
哲也は、今まで茂義を殺さず遠回りしてきたのは、兄が大切にしていた新東和を守るためだった。
そのためにも、マイル石油との提携がほしいことを甘木に強硬した。
甘木は哲也に、新聞の掲載を1日ずらし貸しを作ってやる代わりに、茂義をすっぱ抜けと、哲也の要求を受け入れた。

その頃 賀津夫のもとに、敬雄と佐野が訪れていた。
賀津夫のはからいにより、マイル石油との提携を約束された敬雄は、次の株主総会で新東和の社長に就任する。
そのための打ち合わせだった。
そして佐野から、茂義グループの敵を倒すため、高の協力を取り付けたことも報告された。
また その場に、例の男が現われたことも伝えられた。
その時に監視カメラに映っていた姿から、敬雄と佐野は更に犯人像を絞り込んでいた。
賀津夫の前に並べられた新東和の社員の顔写真は3枚。
もちろん その中に、哲也の写真も含まれていた。
ことの重大さを直感した賀津夫は、有梨沙の護衛をしている柏木典子を新東和に送り込んだ。
そして柏木は、退社した愛染洋子の代わりに、哲也のいるカード推進第3課に配属された。

営業先に出ていた哲也、そして同僚の黒木石原は、長島課長から直帰していいと言う指示を受けた。
帰ろうとする哲也に黒木は「家にお邪魔させてよ」と迫る。
困る哲也におかまいなしに、黒木と石原は、ともに哲也の家へと向かった。
その頃 柏木は、部署に誰もいなくなったのを見計らい、哲也の机の引き出しに手を伸ばしていた。
引き出しの中には、哲也が所有する盗聴器が入っている。
が、引き出しを半分開けた時、真弓が部屋の中に入ってきたため、引き出しを閉めざるをえなくなった。
お互い知らぬ中ではないので挨拶にきたという真弓の出現により、その場は何事もなくおさまった。

哲也の家に着いた2人は、哲也の家の中を物色し始めた。
2人の言葉を巧みにかわす哲也だが、石原は哲也の生活に疑惑を感じていた。
そして その後、石原は佐野と密会をしていた。
哲也が密かに体を鍛えていることや、バイクの運転ができることを、佐野に報告するためだった。
「きみの感触はどうだ」と聞く佐野に、石原は「あいつは変だ」と言葉を付け足した。
佐野は引き続き哲也のことを監視するよう、石原に命じた。

翌日 哲也は、証券会社を訪れていた。
自分が連絡を入れたら、新東和ファイナンスの株を買い始めてくれと言う依頼をするためだった。
一方 敬雄は、マイル石油との調印を無事に済ませ、社へと戻ってきた。
そんな敬雄のもとに佐野から、東都経済新聞に新東和の不正記事が掲載されているという知らせが入った。
が、甘木の流したネタがもとで、不正が新聞に掲載される前から、新東和の株価は暴落している。
敬雄は何とか手を打とうと、茂義グループの系列会社に底値で株を買うよう佐野に指示をだした。
だが一足早く哲也が、売りに出されていた新東和の株を買い占めていた。
正体を隠し、いくつかの会社が買っているふうに見せかけて哲也が所持した株は10%を越えていた。
株の所持率が10%を越えると、会社の「解散請求権」も手に入れられてしまう。
焦った敬雄は、敵を一気につぶすよう佐野に命じた。
敵の正体がつかめていないまま、敬雄は最初のターゲットを哲也に定めた。

出先から戻って来た石原は、同期入社した総務部の友人から聞いたと、ある情報を流す。
新聞に掲載された記事にマイル石油が怒り、茂義コーポレーションが持っている新東和の株券を見せろと提示してきたと言う。
そして更に、それを今夜、マイル石油に証拠としてみせるために持っていくと言うのだ。
これを聞いた哲也は、その夜、株券を強奪するため動き始めた。
しかしこれは敬雄たちが計画した、哲也を始末するための罠だったのだ。

その頃 佐野は賀津夫に、「ターゲットを朝倉哲也に絞り、罠を仕掛けた」という報告をしていた。
そして、新東和の極秘の資料が外部に漏れていたことも報告した。
更に、神田にある「TATE」というBARのオーナー・甘木が絡んでいると睨んでいると言う。
また そのBARに、哲也が出入りしていたことも調べ上げていた。
賀津夫は「甘木」と言う名前に聞き覚えがあるようだが、思い出すことができない。
祖父の部屋の外で、偶然にも、この話しを立ち聞きしてしまった有梨沙。
有梨沙は哲也が罠にはめられたことを知り、哲也を救おうと家から抜け出す。
途中 哲也に知らせようと会社に電話を入れるが、哲也はでない。
有梨沙はタクシーに乗り、神田4丁目にあるという甘木のBAR「TATE」へと急いだ。

敬雄の罠とも知らず哲也は、茂義の警備会社の車の後をつけ、チャンスを見計らって襲撃した。
難なく車を手に入れた哲也は、港のそばに準備していた車に株券を移そうと警備会社の車を止めた。
哲也が警備会社の車の後ろの扉を開き、株券の箱を確認したその時、箱の後ろから銃弾が発砲された。
銃弾は哲也の脇腹に当たり、哲也の脇腹から血があふれでた。
不意打ちの攻撃によろめく哲也めがけて、箱の後ろから高の手下たちが飛び出してきた。
哲也はそのまま海へと身を投げるが、高の手下たちは容赦なく海に向かって発砲し続ける。
そして、襲撃が止み、静けさを取り戻した水面に浮かんできたのは、哲也のヘルメットと大量の血だった。

甘木のBARに佐野が現われた。
佐野は甘木に、「朝倉哲也が死んだ」と告げ、更に「仏を引き取りにくるか」と誘い出そうとした。
だが甘木は、哲也との関係を否定し、佐野の挑発にのることはなかった。
そして佐野は、自分の思い通りに動かない甘木に暴言をはき、甘木のBARを後にした。
佐野と入れ違いに有梨沙が甘木のもとに現われた。
有梨沙は甘木に「哲也を助けてほしい」と訴えるが、甘木は「哲也は・・・」と言う言葉を残し、有梨沙の前を離れた。

その頃、一命を取りとめた哲也は、撃たれた銃弾を体から抜き取り、傷の処置を行っていた。
哲也が受けた傷は深い。
あまりの激痛に、哲也はそのまま気を失う。

翌朝 佐野は、哲也が出社していないという報告を敬雄にし、甘木をつぶす手配を始めようとしていた。
だが 哲也は、遅刻したものの、いつもと変わらずに出社してきた。
哲也が自分の席についた時、机の上の電話が鳴った。
それは、哲也の安否が気になる有梨沙がかけてきたものだった。
哲也の声を確認すると有梨沙はそのまま電話を切り、哲也の無事を喜んだ。
そして佐野のもとに、哲也が出社してきたという連絡も入った。
犯人である哲也をしとめたと思っていた敬雄と佐野は、哲也が出社してきたことから、哲也が本当に敵なのか迷い始めていた。
その頃 甘木もまた、廊下で哲也と顔を合わせた真弓からの連絡を受け、哲也の無事を確認し、心から喜んでいた。

一命は取りとめたものの、哲也が脇腹にうけた銃弾の傷跡はかなり深い。
強烈な痛みに襲われ、倒れ込むようにトイレに入る哲也。
哲也が着ているシャツの脇腹は、血で赤く染まっている。
そして哲也は、傷つけられた脇腹に目をやりながら、「今度はお前の番」と、敬雄への憎悪を募らせていた。
いねの今週のベスト・ショット

高の部下の銃弾をうけ、その傷の手当てをしている時の哲也は、とにかく壮絶でした。

敵の罠にはまり、殺し屋の銃弾を脇腹にうけた哲也。
一命は取りとめたものの、哲也がうけた傷は深い。
哲也の周りに散らばっている布は、哲也がぬぐった血で赤く染まっている。
哲也は麻酔を打ち、自らの手で銃弾を取り出し、傷口を縫う。
そしてアルコールを口に含み、傷口の消毒に吹きかける。
更にアルコールを傷口へと垂らし込む。
傷口に激しい痛みが走り、思わず声をあげる哲也。
哲也は焼けつくような痛みに耐えることができず、そのまま意識をなくしたのだった。
おまけ

傷を負いながらも出社してきた哲也が同僚の石原に、
「おはよう」と言った時の表情と声のトーンも、すごく好きです(笑)。
いねのもう少しだけ言わせて〜

ドラマが始まるまでは、「ハードボイルドな慎吾が見れるぅ〜!」なんて
楽天的に考えていたけど、最近は、哲也を見ていると苦しくてしょうがない。
哲也の気持ちを早く楽にしてあげたい・・・ という心境におちいってます。
でも、哲也と茂義グループとの戦争は、更に激しいものになっていってるし、哲也に安堵が訪れるのは、茂義グループが崩壊した時なんですよね。
あ〜〜、それまで私は耐えれるかなぁ・・・。(^^;
心も体も傷ついてる哲也のことを考えるとツライよぉ〜。

そして来週は、哲也が賀津夫の存在に気づくんですよね。
敬雄よりも大きな敵を目の前に、哲也の新たな戦いが始まりそうですね


■第七話「正体はばれていると確信した哲也は核心に入り込む。 」 〜1999年5月29日〜

あらすじ

同僚の石原が流したガセネタにより、茂義敬雄の罠にはまった哲也
哲也は、佐野が呼び寄せた台湾マフィア・の手下の銃弾を脇腹にくらい、瀕死の傷を負っていた。
翌朝、なにくわぬ顔で出社してきた哲也だったが、脇腹に走る痛みはかなり激しい。
他の人間に痛みを悟られないためトイレに身をひそめ、痛みをこらえる哲也。
そして傷つけられた脇腹に目をやりながら、「今度はお前の番だ」と、敬雄への憎悪を募らせていた。

カ−ド推進第3課にいるスパイにより、敬雄のもとに哲也の出社が報告された。
敬雄は哲也が出社してきたことから、他に仲間がいるのではないかという、新たな考えをもち始めていた。
その頃、哲也の部署のある3階の廊下の壁に血痕がついていることが発見されていた。
まだついたばかりの新しい血痕に騒ぐ女子社員。
その騒ぎの後ろを茂義賀津夫により送り込まれてきた柏木典子が通り掛かり、敬雄に報告された。
柏木からの報告を受け、仲間がいるにしろ哲也が犯人であることに違いないと確信した敬雄。
敬雄は、これ以上 哲也を野放しにできないと判断し、「社内でもやむをえない。見つけ次第、処分を」と、哲也を始末することを佐野に命じたのだった。

トイレの中で傷の処置を行っていた哲也は、トイレに入ってきた男子社員の話しから、廊下に血痕を残してしまったことを知る。
また、会社の入り口に立っている警備員にも哲也の顔写真が手渡され、哲也を逃がさないための体制がしかれた。
哲也を始末するよう命じられた佐野は、カード推進第3課に出向いていた。
「敬雄がもう一度 哲也に会いたがっている」と伝え、その場に哲也がいないことを確認すると、石原に哲也を捜しに向かわせた。
ヤバイことに首を突っ込んでしまったのではないかと不安を感じた石原は、佐野に真相を聞こうとする。
だが、佐野が答えるはずがない。
不安を感じながらも石原は、佐野が命じるがまま、哲也を捜し始めたのだった。

その頃、哲也の行方を捜させる「業務連絡」と称した、哲也を呼び出す社内アナウンスが流れていた。
傷の処置を済ませた哲也の耳にも、その社内アナウンスの声が聞こえてきた。
古池真弓もまた、そのアナウンスを聞いていた。
一方 佐野は、台湾マフィア・高とも連絡を取っていた。
高を新東和に呼び寄せ、哲也を始末させようとしていたのだ。
佐野と高が接触し、互いの目配せで哲也を始末しようとしていることを感じとった真弓は、甘木のもとに連絡を入れた。

高の手下、柏木、そして石原は、なおも哲也の行方を捜していたが、哲也の姿は発見できない。
そんな時 石原が、男子トイレの中にノックをしても返事が返ってこない個室を見つけた。
ここに哲也が隠れているのではないかと思った石原は、佐野のもとに連絡を入れた。
石原の連絡を受け、高の手下たちとトイレの前に駆けつけた佐野。
佐野は高の手下たちに指示を送り、問題の個室のドアの前で銃をかまえさせ、ドアを強引に開けさせた。
だが、中から姿を現したのは哲也ではなかった。
身の危険を感じた哲也は、一足早く その場を後にしていたのだった。
トイレの入り口で この様子を見ていた石原は、「ヤバイことになるのなら、これ以上協力はしたくない」と、佐野に申しでた。
が、佐野は、「金で自分を売ったんだ。今更、逃げようと思うな。」と、石原を強迫した。

食堂の厨房に逃げ込んだ哲也の後を追うように、高の手下たちも追ってくる。
そして哲也は、高の手下たちの目を逃れ、厨房でナイフとパンを手に入れ、資料図書室に身を潜めた。
廊下に点々とついている血の跡から、哲也が資料図書室にいると狙いとつけた佐野。
佐野は「目立たないように始末しろ」と、高たちに指示をだした。
その頃 真弓から連絡を受けた甘木は、哲也の危機を救うべく敬雄に会いに新東和に現われていた。
敬雄は高のもとにいる佐野に連絡を入れ、佐野を専務室に呼び寄せた。
専務室では甘木が、「国際指名手配中のチャイニーズ・マフィアを社内で泳がしてる」というネタをもとに、敬雄たちに揺さぶりをかけていた。
そして更に、「週刊誌の記者たちが嗅ぎ付けて、会社に張りついてるぞ」と、追い討ちをかけた。
甘木はこのネタをもみ消してやる代わりに、敬雄に300万円の取り引きを要求してきた。

甘木に高のネタを捕まれたと知った佐野は、専務室を後に、高たちのいる資料図書室へと急いだ。
高たちはドアに手をかけ、今にもドアを開けようとしている。
哲也は資料図書室の中で身を固くし、高たちの動きに全神経を集中している。
その時 佐野の「停止だ」という声が響いた。
甘木の出現により、これ以上ことを荒立てないため、今日のところは哲也を始末するのは見合わすと言うのだ。
佐野の指示を受け、高たちは退散していった。
その代わり佐野が、資料図書室の中に哲也の姿を確認しに入っていった。

警戒しながら哲也を捜す佐野の足元に、何か赤いものが落ちてきた。
佐野が上を見上げると、哲也は資料棚の上に腰掛け、本を広げていた。
「今、降ります」と、ハシゴを使って降りようとする哲也に、「若いんだ…、飛び降りてみろ」と挑発する佐野。
佐野の言葉通り飛び降り、痛みをこらえながら体を起こす哲也。
体を起こした哲也の手から、ホットドックのケチャップが滴り落ちた。
哲也は佐野に笑顔を見せながら、「朝めし、食べてないんです」と、手にしていたホットドックにパクついた。
そして、何事もなかったかのように立ち去ろうとする哲也に向かって佐野は、「ちょっと待て」と、荒々しく呼び止めた。

高たちを退散させた敬雄は、甘木の持ってきたネタを否定し、甘木を追い返そうとしていた。
その時、佐野と哲也が専務室に入って来た。
専務室の入り口で顔を合わせた哲也と甘木は、お互い知らないふりをしようとした。
だが哲也が甘木のBARに出入りしていることを調べ上げていた佐野は、哲也にそのことを問い詰めた。
佐野への返答に戸惑ってる哲也に代わり、甘木が口を開いた。
甘木は哲也が自分のBARに来ていることは認めたものの、哲也の素性は知らないふうを装った。
甘木が専務室を出ていった後、敬雄は哲也のそばにより「友達は選ばなきゃ」と言葉をあびせ、哲也の脇腹にパンチを入れた。
痛みをこらえながら「用件はなんですか」と、敬雄に笑顔を見せる哲也。
そして「お互い、この会社がつぶれたら何のために闘っているのかわかりません」と、挑戦めいた言葉を返した。
更に哲也は、「富士木前社長殺しの指示を敬雄が出した、というテープが出回っている」という噂を話し、敬雄にかまをかけた。
呆然とする2人を後に、専務室を退室する哲也。
我に返り 哲也の後を追おうとする佐野。
だが敬雄は慌てる佐野を引き止め、哲也をもう少し泳がせて敵の狙いを探ってから処分するという作戦へと切り替えた。

部署に戻ってきた哲也は、石原の耳元に顔を近づけ、無言の圧力をかけた。
そして柏木に、「明日の夜、会ってほしい」という約束をとりつけた。

その夜、哲也は甘木を自分の家へと呼び寄せた。
哲也は部屋に入ってきた甘木に拳銃を向け、警戒したまま、甘木が新東和に姿を現した真相を確かめる。
「茂義に俺を売ったのか」と問い詰める哲也に、「売ったよ。油をな。」とジョークで答える甘木。
銃先を降ろしながらも警戒を緩めず哲也は甘木に、「本当の狙いはなんだ」と切り返す。
甘木は哲也の言葉には答えず、「人のことより自分のことを心配しろ」と忠告する。
と同時に、茂義に対する哲也の憎悪がすさましいものに変わっていることも感じとっていた。
そして甘木は、「自分の狙いにお前の動きが邪魔になるようだったら、お前を消す。」と予告して、哲也の部屋を後にした。

甘木が去った後、1台の車が哲也の家の前で止まった。
佐野に命じられた石原が、哲也を見張りに来たのだった。
「今のところ変わった様子はない」と佐野との電話を終えた直後、石原の携帯に彼女からの連絡が入った。
彼女との通話中、車の外に変な気配を感じた石原は、窓の方に視線を向けた。
そして そこには、石原の見たことのない冷酷な表情の哲也が、ゆっくり姿を現したのだった。

石原の車を走らせ、哲也は人里離れた山中に石原を連れてきた。
哲也は石原が、学生時代からカードで金を借りまくり、その返済に追われていることを調べ上げていた。
石原は自分の失態を話し始める哲也に、戸惑いの表情を隠せない。
更に哲也は、言葉巧みに石原の心を揺さぶり始めた。
そして哲也は「俺の趣味だよ。付き合えよ。」と、立ち入り禁止ゾーンの山の中に入っていった。
しどろもどろになりながら、哲也の後をついていく石原。
そんな石原におかまいなしに、哲也は奥へ奥へと進んで行く。
そしてTシャツを脱いだ哲也の脇腹の傷を見て、石原は言葉をなくした。

哲也は石原の目の前で、狙撃の練習を始める。
的に的確に弾を撃ち込む哲也に、石原は次第に恐怖を覚える。
そして哲也は、恐怖に硬直する石原に拳銃を渡し「撃ってみろよ。スカっとするぜ。」と挑発した。
拳銃を手渡された石原は、震える手で哲也に拳銃を向ながら、「金欲しさにスパイを引き受けたんだ」と言った。
そして、「こんなヤバイことになるとは思わなかった」と、言葉を続けた。
石原に拳銃を突きつけられているにもかかわらず、哲也は顔色ひとつ変えない。
それどころか、「撃ってみろよ!」と、更に石原を挑発する。
だが、銃の扱いを知らない石原は、哲也がかけた銃のセーフティーを外すことができず、引き金をひくことができなかった。

愕然とする石原から拳銃をゆっくり奪い取り、拳銃のセーフティーを外した哲也は、今度は石原に拳銃を向けた。
そして そのまま石原の顔を滑らせ、銃先を口の中に突っ込んだ。
言葉にならない声を出す石原に対して哲也は、「俺が殺らなくても、お前は殺られるよ」と、脅し始めた。
石原に茂義たちの冷酷さを思い出させ、柏木典子が石原の見張り役として送り込 まれてきたと、暗示をかけた。
更に「豚のままくたばるか、獣になって生き残るか、道はひとつだ」と、言葉を続けた。
力なく哲也の足元にくずれ「死にたくない」と哀願する石原に、哲也は再び拳銃を握らせ、銃の撃ち方を教える。
そして「撃てよ!」と叫ぶ哲也の声とともに、必死に引き金をひき続ける石原。
銃弾がなくなり跪く石原のそばに哲也は顔を近づけ、「自分が生き残るためには、あいつを殺ればいいんだよ」と吹き込んだ。

時を同じくして、敬雄も自宅で狙撃の練習をしていた。
敬雄は、そばで見ていた有梨沙に「銃の撃ち方を教えてやる」というが、有梨沙は敬雄に、母親の死んだ時のことを語り始めた。
有梨沙の母親は、有梨沙が4歳の時、銃で自殺を図っていたのだった。

その夜、哲也は柏木典子と会っていた。
柏木は佐野から、哲也の脇腹にある傷を確認しろという司令を受けていた。
ホテルの一室には、柏木の誘いにのった哲也の姿があった。
哲也のシャツに手をかけ、ひとつひとつボタンを外していく柏木。
柏木の手が腹部のボタンにかかった時、哲也は柏木を抱き寄せ、それを阻止した。
そして哲也は、部屋の外の物音を聞きつけ、部屋のドアを開けに行った。
ドアの外には男の姿があった。
慌てて逃げる男を追いかけて、哲也は部屋を飛び出した。
柏木もまた、哲也と、その男の後を追って部屋の外へと飛び出した。
駐車場に出てきた哲也と柏木。
逃げ去る男の姿を追い、柏木は哲也と違う方向に向かった。

哲也は駐車場で、佐野たちの車に挟まれ足止めをくらった。
哲也の狙い通りだ。
車から出てきた佐野は、「柏木典子を殺したのか」と哲也に問い詰めるが、哲也はしらばっくれる。
哲也は高の手下たちのボディーチェックを受ながら、ボンネットの上に顔を叩きつけられた。
一方 柏木は、拳銃をかまえながら、逃げ去った男の後を追いかけていた。
その時 暗闇の中から、フードをかぶった男が姿を現した。
その男は石原だった。
哲也に「お前の敵は柏木だ」と吹き込まれている石原は、険しい表情を見せながら柏木に向かって銃をかまえた。

哲也を拉致してるにもかかわらず、駐車場の中に銃声が響いた。
慌てて佐野たちが駆けつけると、そこには血を流して倒れている柏木の姿があった。
佐野は携帯で甘木を張り込んでいる部下たちに連絡を取り、甘木も店にいることを確認した。
「甘木の他に誰が手を貸してるんだ」と言う佐野に、哲也はあくまでしらばっくれている。
柏木がまだ生きていることが確認され、佐野は柏木を病院に運ぶことにした。
そのそばで「警察は呼ばないんですか?」と、佐野に冷酷に問い掛ける哲也。
そして 哲也も佐野とともに、病院へ向かったのだった。

緊急治療室で傷の処置を受ける柏木。
脈が乱れ、危ない状況に陥った柏木に、佐野は犯人の名前を聞き出そうとするが、柏木は力尽き、そのまま息を引き取った。
柏木の死を見取った哲也と佐野が緊急治療室から出ると、そこには敬雄の姿があった。
哲也の正体を突きとめたい敬雄は、病院に有梨沙を連れてきていた。
父親に「この男をよく知ってるね」と聞かれ、「朝倉哲也さん」と答える有梨沙。
勝ち誇った表情の敬雄たちに、「会社のパソコンで、お父さんに写真を見せられただけです」と、有梨沙は言葉を付け足した。
有梨沙の言葉を聞き 哲也も、「茂義有梨沙さん。今、初めてお名前を聞きました。よろしくお願いします。」と挨拶をし、右手を差し出した。
そして哲也と有梨沙は敬雄の前で、握手を交わしたのだった。
有梨沙がその場を離れた後、哲也は敬雄に、「新東和という会社は何をしているのか」と切り出した。
更に、「社員が殺されたのに、警察にも連絡を入れないし、このままだと告発しますよ」と脅しをかけた。

柏木典子が銃撃されたという連絡を受け、賀津夫も病院に姿を現した。
そして病院の入り口に向かう階段の途中で、賀津夫は哲也とすれ違い、哲也を呼び止めた。
哲也は賀津夫に自己紹介をし、その相手が茂義会長であることを確かめた。
賀津夫は哲也の顔を見て、「新東和を興した初代社長に、よく似ている」と不思議な笑みを浮かべた。
更に「今度、家に遊びに来い」と、哲也に誘いをかけた。

柏木が放置されてる慰安室で、賀津夫は柏木の遺体に手を合わせ、「手厚く葬ってやれ」と、佐野に命じた。
そして、今しがた哲也に会ったことを敬雄たちに伝え、「あいつは使える」「血筋もいい」と、言葉を付け足した。
父親の言葉に目を細める敬雄にかまわず、賀津夫は、これから始まる戦いを楽しんでいるかのように見えた。

翌朝、出勤してきた石原を、哲也は待ち構えていた。
哲也の前に乱暴に拳銃を置く石原に、哲也は、柏木典子は何も告げずに死んでいったことを伝えた。
そして、このことを敬雄たちがもみ消したことも話した。
更に石原に、「自分が会社の実権を握った時は いいポストを与えてやるから、茂義たちの動きを随時報告しろ」と脅迫した。
石原は「これ以上かかわりを持ちたくない」「きみは何者なんだ」と、声を震わせながら哲也に聞いた。
哲也は「血は消せない」「この顔、変えときゃよかったよ」と、意味深な言葉を石原に返した。
そして「いよいよ正体がばれそうなんだよ、くそじじぃに!」「今夜、爆弾をしかけてくるよ」と、暴言をはいた。

その夜 哲也は、茂義邸を訪れていた。
部屋に通された哲也の前に、敬雄たちが姿を現した。
哲也は「こんなものを手に入れました」と穏やかな表情を見せながら、背広の内 ポケットからカセットテープを取り出したのだった。
いねの今週のベスト・ショット

今回は見ごたえのあるシーンの続出でしたね。
クライマックスに近づくにつれ、私もかなり緊張しながらストーリーを追っています。
その中で 今回は、哲也が石原に拳銃を突きつけ脅しをかけるシーンが、1番印象に残っています。

石原の目の前で銃の練習を始める哲也。
初めて聞く銃声に、耳をふさぎ、体を震わす石原。
そんな石原に目もくれず、哲也は引き金をひき続ける。
そして石原の後ろに回り込み、石原の肩越しに的を狙う。
恐怖に硬直する石原に、「撃ってみろよ」と拳銃を手渡す哲也。
哲也に言われるがまま、銃先を哲也に向けるが、石原は引き金をひくことができない。
何もすることができない石原から、哲也はゆっくり 拳銃を奪い取った。
そして哲也は、石原の顔を滑らせ、石原の口の中に拳銃を突っ込んだ。
言葉にならない声で、哲也に抵抗する石原。
だが哲也は、表情を変えることなく、石原を静かに、そして冷酷に脅し始めたのだった。
おまけ

敬雄に握手を求められた時、手を出すことをためらった哲也が、自ら有梨沙に手を差し握手を求めた時の その場の空気に、なんだかドキドキしちゃいました。
いねのもう少しだけ言わせて〜

エンディングの映像が変わってましたね。
かわいい系の慎吾に、思いっきり悩殺されちゃいました(笑)。
ハードな映像が多い中、こういう何気ない表情の慎吾が見れるのは、すごく嬉しいです。
これが、茂義との闘いを終えた未来の哲也の姿を暗示してるものだったら、もっと嬉しいんだけどなぁ〜。

そして、タイトルバックの映像から、愛染洋子さんの姿が消えていましたが・・・
もしかして 洋子さんは、もう出てこないってことなの!?
あ〜〜、洋子さんのキャラ、好きだったのになぁ〜。
なんだか淋しいなぁ・・・。


■第八話「正体をばらした哲也と甘木の関係は。」 〜1999年6月5日〜

あらすじ


哲也は、佐野のスパイとして操られていた石原を脅し、茂義コーポレーションから送り込まれてきた柏木典子をしとめさせた。
柏木の銃撃現場に居合わせた哲也は、まだ息のある柏木を病院に運ぶという佐野に同行した。
そして、病院からの帰り道、哲也は茂義賀津夫に出くわす。
哲也を見た賀津夫は、「新東和を興した初代社長に、よく似ている」「今度、家に遊びに来い」と誘いをかけた。
その言葉を受け、哲也は、翌晩、茂義邸を訪れた。
部屋に通された哲也の前に、敬雄、賀津夫、有梨沙、佐野が姿を現した。
そして哲也は、「こんなものを手に入れたので持ってきました」と、穏やかな口調で、カセットテープを取り出したのだった。

哲也が取り出したカセットテープに、驚きの表情を隠せない敬雄と佐野。
敬雄は、賀津夫と有梨沙にこの場を去らせ、哲也と2人きりで話しをつけようとしていた。
だが 敬雄の思惑を遮るように哲也は、「茂義会長から直々にお誘いをいただいた」と言い、賀津夫に相づちを求めた。
そして 有梨沙には、「後でお土産を差し上げるので」と言い、この場に賀津夫も有梨沙も残るよう仕向けた。
佐野の部下のボディーチェックにより、哲也は何も武器を持っていないことが確認されている。
佐野は台湾マフィア・と連絡を取るため、携帯を手に、その場を離れた。

哲也はカセットテープを手にしながら、敬雄に向かって淡々と語り始めた。
そのテープには、 敬雄がある女性に、あってはならない事実を告白した時のことが録音されてると言うのだ。
「なんだか刑事みたいですね」とおどける哲也。
そんな哲也に敬雄は険しい表情で近づき、「無駄話しはやめて、帰りなさい」と、哲也の手からカセットテープを奪い取った。
だが哲也は、すかさず別のカセットテープを取り出した。
そして、「こんなに大事なテープをコピーもしないやつなんて、社員として必要ありません」と、罵るように言葉を返した。
賀津夫は、哲也と敬雄の緊迫したやり取りを、ソファーに座りじっくり観察している。
しばらくして、高との連絡を終えた佐野も部屋に戻ってきた。

敬雄は、賀津夫の横に腰を下ろした。
哲也は部屋に戻ってきた佐野に目をやり、それから、敬雄の正面に座った。
そして哲也は、カセットテープに録音されてるという、敬雄の悪事を暴露し始めた。
それは敬雄が、「富士木前社長の殺害の指示を出し、抹殺させた」と言うものだった。
哲也の言葉を聞き、賀津夫と有梨沙、そして佐野は目を見張る。
だが敬雄は、哲也を見据えたまま、表情をくずすことはない。
哲也は更に、「殺害された前社長の偽の遺言状を使って没収した新東和の株を、速やかに返した方がいいんじゃないですか」と、敬雄に迫った。
哲也の言葉を受けて敬雄は、富士木和正殺害の事実を否定し、「新東和と心中する覚悟を決めている」と、少しも動じない。
哲也は冷ややかな笑みを浮かべながら、「その覚悟なら、今度の株主総会で一切の経営権を放棄する、それしか道はない」と、敬雄に切り返した。
あくまでも冷静な哲也に、敬雄は凄みをきかせて睨みつける。
その時、そばで2人のやり取りを聞いていた賀津夫が口を開いた。
まず、哲也の戸籍上に父親の名前がないことを確認した。
そして、新東和を興した初代社長・富士木和夫によく似ていることから、賀津夫は哲也の素性に気づいたのだった。
哲也が新東和の初代社長の息子であると言う賀津夫の発言に、敬雄と佐野は息を呑んだ。
その頃 茂義邸の表の通りで、佐野から連絡を受けた高の手下たちは工事現場の作業員になりすまし、哲也を始末するための準備を進めていた。

賀津夫から自分の正体を明かされた哲也は、その事実を否定することはなかった。
哲也は更に、敬雄の前にテープを突きつけながら、新東和から手を引くよう迫った。
だが敬雄は、「障害があればあるほど燃えてくるんだよ」と、哲也の申し出を受け入れようとしない。
哲也も「僕もそうです」と言い、引き下がろうとしない。
そして、手にしていたカセットテープを、おもむろにカセットデッキの中に突っ込んだ。
だがテープから流れてきたのは、富士木和正殺害の告白ネタではなく、ハーモニカのメロディーだった。
唖然とする敬雄たちを尻目に哲也は、「僕の想いを託した曲です」と、テープを有梨沙に投げ飛ばし贈った。

哲也の行動から敬雄は、ユリが録音したというテープを哲也が所有していないのではないかと疑問を抱き、哲也に問い詰めた。
敬雄の言葉に、哲也は否定も肯定もせず、「続きは明日、会社で」と、笑い飛ばした。
そして茂義邸を後にしようとしている哲也に賀津夫は、「いっぱいやらんか」と酒に誘った。
哲也は賀津夫からの酒の誘いを丁重に断り、有梨沙に表まで送ってもらえないかと依頼した。
敬雄は「送らなくてもいい」と有梨沙に言うが、有梨沙は「自分のことは自分で決めます」と、哲也の申し出を受け入れた。
哲也が有梨沙と共に部屋を出た後、賀津夫と敬雄の間には緊迫したムードが漂っていた。

茂義邸の表の通りでは、高の手下たちが工事現場の作業員を装い、哲也が現われるのを待ち構えていた。
哲也は有梨沙に離れずに歩くように指示を出し、高の手下たちに、有梨沙の背中に拳銃を突きつけてるような格好を見せた。
哲也の後ろ姿に銃を向けながらも、手が出せない高の手下たち。
その時、高が「標的が変わった」と、手下たちに停止の指示を送った。

高たちの前から無事に脱出することができた哲也。
哲也に軽く微笑みかけ、テープのお礼を言う有梨沙。
だが哲也は有梨沙に対して冷ややかな態度はくずさず、「帰るよ」と歩き出した。
有梨沙は哲也の後を追い、哲也の背中の頭を傾け、哲也に対する想いを告白した。
哲也は有梨沙の気持ちを背中越しに受けるが、有梨沙の方へ振り返りはしない。
そして有梨沙に背中を向けたまま携帯電話を手渡し、「またな」と言葉を残して、有梨沙の前を去っていった。
有梨沙は、そんな哲也の後ろ姿を静かに見送った。

その頃 甘木は自分のBARで、「茂義一族の策略」を赤裸々に綴った暴露ネタを執筆していた。
その時、甘木のBARのバーテン・広木が、険しい表情を見せながら店の中に入ってきた。
広木は甘木に危険が迫ってきていることを目で合図し、2人は店の奥へと身を隠した。
そして次の瞬間、高たちが甘木のBARの前に姿を現した。
ドアノブを壊し、店内に侵入する高たち。
高は佐野の指示を受け、ユリが録音したというカセットテープを探しにきたのだった。
一方 哲也の自宅も、カセットテープを探しにきた高の手下たちによって荒らされていた。
哲也は拳銃を手に警戒しながら、物色された部屋の中へと入る。
そして拳銃を構え、地下の隠し部屋の扉を開けた。
だが 敵が身を潜めている形跡はないようだ。
隠し部屋に降り立った哲也は、パソコンのデスクトップに目をやった。
するとそこには、ユリからのメールが届いていたのだった。
ふいに届いたユリからのメールに、一瞬 緊張がほぐれる哲也。
さっそくユリに返事のメールを打とうとした瞬間、上の階からかすかな物音が聞こえてきた。
天井に目をやり、再び拳銃を手にし、物音が動く方へと目線を這わせ銃を構える哲也。
だが警戒する哲也の耳に聞こえてきたのは、甘木の声だった。

甘木とともに哲也の部屋を訪れた広木は食事の準備をし、拳銃を手に、哲也の家の外を見張りにいった。
甘木は、「ユリのカセットテープをネタに茂義邸に乗り込むのなら、その前に連絡を入れておけ」と、哲也を叱咤した。
続けて、「茂義が本気で、自分たちのことも始末しようとしている」と話した。
だが 哲也は、「こっちは茂義に正体をばらしたのだから、それぐらい勘弁しろよ」と、甘木の言葉を素直に聞き入れようとしない。
哲也の言葉に苛立つ甘木。
甘木はサンドバックに蹴りを入れながら、「茂義賀津夫に会ったのか」と、哲也に聞いた。
哲也は「たいしたことないな。人のいい くそじじぃだよ」と、賀津夫のことを罵った。
まずは敬雄をしとめて、その次は賀津夫を倒すと言わんばかりの哲也に、甘木は、「茂義会長を見くびるな」と忠告した。
そして甘木は、「俺は怖くて、この10年、手を出すことができなかった」と、サンドバックに痛烈な拳を叩き込んだ。

一方 賀津夫は、佐野に甘木のことを調べさせていた。
佐野から甘木に関する報告を受け、賀津夫は甘木のことを思い出した。
10年前、賀津夫は甘木の勤めていた銀行の審査部に手を回し、巨大融資をさせようとしていた。
その時、賀津夫の策略になびかなかった その男は、賀津夫の毒牙にかかり、銀行を失脚させられていた。
賀津夫は、その男が「甘木」と言う名前だったと言うのだ。
そして そのことに気づいた賀津夫は、甘木の狙いは敬雄ではなく、自分にあるということも察していた。
そこへ、賀津夫に朝の挨拶をしにきた有梨沙が現われた。
無防備に有梨沙を可愛がる賀津夫。
その様子を、茂義邸の塀の外から甘木はうかがい、意味深な笑みを浮かべた。

その日 新東和では、重役会議が開かれていた。
哲也は、会社の株の15%を保有する株主の権利を受けたことから、その会議に出席していた。
だが 敬雄は、哲也が重役会議に出席することを認めようとしない。
ところが、他の役員たちは、哲也が富士木前社長の弟で、初代社長の息子であることから、哲也を受け入れようとしていた。
また、新東和の取引き先の会社も、哲也に対して好意的な意思表示を示していた。
役員からの報告を受けた敬雄は、「新東和は、もはや富士木一族とは何の関係もない」と、怒りをあらわにした。

それまで口を閉ざしていた哲也だったが、敬雄の言葉を聞き、「俺のアニキを殺したのは、茂義敬雄」と、言い放った。
哲也の不意をついた発言に、「証拠はあるのか」と、言葉を投げつける敬雄。
この言葉を受け哲也は、会議室のドアの前に行き、ドアを開いてみせた。
そこにはテープを掲げたユリが立っていたのだった。
ユリの突然の出現に驚きの表情を隠せない敬雄に、哲也は冷たい視線を送った。

ユリを乗せたエレベーターの中で、古池真弓は「富士木社長には、大変お世話になりました」と、挨拶をした。
ユリは、「これからは、朝倉さんをよろしく」と、真弓に言葉を返した。

カード推進第3課に戻ってきた哲也に対して、長嶋課長を始めとする、部署のみんなの態度がよそよそしい。
先ほど長嶋課長が受けた電話により、哲也が富士木前社長の弟であることが報告されていたのだった。
みんなの気遣いや心配をよそに、哲也は、「この会社も、みなさんも好きだから、何も変わらない」と、笑顔でみんなに接した。
そして 石原には、「もう佐野から司令はこないはずだから、ダブルスパイはしなくてもいい」と、ほのめかした。
その時、哲也の机の上の電話が鳴った。

一方、茂義一族の暴露ネタの執筆を終えた甘木は、拳銃と原稿をカバンに入れ、出かける準備をしていた。
そこに、賀津夫と佐野が姿を現したのだ。
甘木は賀津夫の冷酷さを罵り、賀津夫は甘木を見下した態度で接した。
甘木は、「ちょうど、あんたのところに出かけるところだった」と、カバンの中の原稿を賀津夫に手渡した。
そして、「この原稿を表に出されたくなかったら、新東和から手を引いて、茂義コーポレーションを自分の手で潰せ」と迫った。
更に、「断った時は、あんたを殺す」と脅しをかけた。
その時 賀津夫から呼びつけられた哲也が、甘木のBARに現われた。
哲也と甘木は、賀津夫の意図を掴むことができないでいる。
そんな2人におかまいなしに、賀津夫は話しを切り出した。
まずは哲也に重役会議で正体を明かしたことを確認すると、新東和を哲也に任すと言った。
更に、敬雄を新東和の社長から辞退させ、茂義グループが所有している株を全てやると、言葉を続けた。
賀津夫の唐突な発言に哲也は、「その条件は」と切り返した。
賀津夫の条件は、「敬雄の告白テープを燃やすこと」「ゆくゆくは有梨沙と結婚すること」だ。
そして、「きみの腕次第で、茂義コーポレーションという自分のファミリーも、全て きみに渡す」と、言葉を続けた。
「条件を呑むか」と言う賀津夫に、「はい」と答える哲也。
賀津夫は更に、「甘木という男とも手を切り、甘木の原稿に書かれていることも全て否定しろ」と、哲也に命じた。
哲也は、「もう、彼に用はありません」と、冷たく言い放った。
哲也の言葉を聞き 賀津夫は、「それでも俺を潰したいのなら、いつでもこい」と、甘木に挑戦的な言葉を投げつけた。
更に賀津夫は、「自分を潰すということは、哲也の一生も台無しにするということだがな」と忠告した。
そして賀津夫は、哲也を連れて新東和へと戻っていった。
甘木は賀津夫の後ろ姿に向かって、「待ってろよ」と、宣戦布告をしたのだった。

新東和ファイナンスの専務室で、賀津夫は敬雄に、新東和から手を引くよう命じていた。
60億の闇融資の一件で、肝心の東洋銀行を抑えることができなかったのが致命傷になったというのだ。
そして 哲也が、自分たちの思い通りに動かないことも察知した賀津夫は、新東和ともども、哲也を潰そうとしていたのだ。
「新東和を潰す」と言う賀津夫の発言に慌てる敬雄。
その時 賀津夫は、専務室のドアの向こう側に人の気配を感じた。
佐野がドアを開くと、そこには、お茶を手にした真弓が立っていた。
真弓は、賀津夫たちの話しを盗み聞きしていたのだった。

真弓は震える手で賀津夫たちにお茶を出し、早々と専務室を出ていった。
賀津夫は今まで真弓の存在に気づかなかった佐野を叱咤し、そして、哲也を始末することを命じた。
失敗を繰り返さないよう、自分たちの手を汚さないためにも、「甘木を使って、哲也を始末しろ」と指示した。
更に、こちら側のスパイをもう一度洗い直すことも命じた。

石原は佐野から、真弓の後をつけるように司令を受けた。
真弓の後をつけセメント工場に入っていった石原は、携帯で哲也に連絡を入れた。
哲也との通話中、石原は甘木のバンチをくらい気を失う。
甘木が石原の前から去った後、今度は佐野が気を失っている石原の前に現われた。
佐野がそばに落ちている石原の携帯を耳に近づけると、そこから石原の名前を呼ぶ哲也の声が聞こえてきた。
応答のない石原の携帯がふいに切られ、哲也は石原の身に何かあったことを感じとった。

その頃 セメント工場の中で、真弓と甘木は会っていた。
真弓は、専務室の外で聞いた賀津夫たちの会話を甘木に報告していた。
真弓からの報告を受け、茂義たちに、真弓が情報を流していたことがばれてしまったことにも気づく甘木。
「茂義たちに気づかれたことを、なぜ 先に言わなかったんだ」と言う甘木に、「あなたに会いたかった」と答える真弓。
甘木は真弓が危険な状況にさらされていると察し、茂義を倒すまでしばらく身を隠してほしいと頼む。
そして甘木は、今までの謝礼を真弓に渡そうとするが、真弓は受け取らない。
最初は新東和をよくしようと思って甘木を手伝っていた真弓だったが、いつのまにか甘木に想いをよせていたのだ。
その時、拳銃を構えた高の手下たちが、2人を取り囲むように迫ってきていたのだった。

石原の携帯から連絡が途絶え、何かが起こっていると感じた哲也は、セメント工場にバイクで乗り込んだ。
そして銃を構え、警戒しながら工場内に入っていく哲也は、背後から拳銃を突きつけられた。
手をあげ、拳銃を渡し、ゆっくり振り返ると、そこには、哲也に銃先を向けた甘木の姿があった。
驚く哲也に甘木は なおも銃先を向けながら、「死ね。哲也」と、暴言をはいた。
が、次の瞬間、甘木は目線を使い、高の手下たちに周りを囲まれていることを哲也に知らせた。
哲也と甘木はアイコンタクトでタイミングを図り、甘木は手にしていた哲也の拳銃を落とした。
甘木の手を離れた拳銃を、哲也はすかさず受け取り、2人は高の手下たちとの銃撃戦を繰り広げた。
高の手下たちをしとめた哲也と甘木。
何があったの状況を呑み込めていない哲也に、甘木は事情を話した。
真弓が佐野の人質にとられてしまい、甘木は8時までに哲也を始末して佐野の元に行かなければ、真弓が殺されることになっていたのだ。
だが、真弓が人質にされてることはわかったものの、石原の行方はわからなかった。

甘木は真弓を救い出す手段として、哲也に有梨沙を連れ出すよう命じた。
更に、こちらも人質をとって賀津夫をおびき出し、そして警察を呼んで、マフィアと一緒にいる賀津夫を倒させようと言うのだ。
警察を呼ぶと、新東和ファイナンスも潰れてしまう恐れがあるため、哲也は甘木の要求を受け入れようとしない。
新東和のことよりも茂義一族を一気に潰したい甘木は、その計画を実行しろと、哲也に強制した。
甘木の言葉に怒りを抑え切れない哲也は、甘木に銃を向けた。
甘木もまた、哲也に向かって銃を構えた。

甘木が異様なまでに賀津夫を恨んでいることを悟った哲也は、誰をばらされたのか甘木に聞いた。
10年前、甘木が賀津夫の策略にはまって銀行を辞めた時、甘木をかばおうとして上司が、賀津夫にいたぶられて自殺をしていた。
そして10年たった今、今度は女がいたぶられている、同じことを繰り返すほどやわじゃないと言った。
哲也は甘木の心情を察し、警察を呼ぶこと以外は、甘木の計画を受け入れた。
哲也は賀津夫をおびき出すため、茂義邸へとバイクを走らせた。
その頃 広木は、隠し棚の中から拳銃が一丁 消えていることに気づき、何かを感じとっていた。
広木はBARの前の見張り役を倒し、甘木の行方を追い始めた。
一方 甘木は、真弓を救い出すため、真弓が人質にとられてる佐野たちのアジトへと単身で乗り込んでいた。

茂義邸に着いた哲也は、有梨沙に渡した携帯電話に連絡を入れた。
電話に出た有梨沙に哲也は、「今すぐ でてこれるか。会いたい」と言い、有梨沙を誘い出そうとした。
見張りがいて難しいがやってみるという有梨沙に、「賀津夫を連れだし、3人でこれからのことを話し合おう」と、指示を送った。
哲也との電話を終えた有梨沙は、賀津夫を呼びに祖父の部屋へと向かった。
そして 祖父の部屋で、賀津夫のやり方に納得のいかない敬雄が、賀津夫に挑みかかっている姿を見た。
敬雄は新東和を手に入れることが夢だったと、賀津夫に告げた。
そして、自分の夢を潰そうとしている人間は、例え自分の父親であっても容赦しないと言わんばかりだ。
賀津夫は、新東和のためなら どんなことでもやりかねない敬雄に、厳しい視線を送った。

哲也は茂義邸の前で、銃を取りだし、賀津夫が姿を現すのを待ち構えていた。
そして今、それぞれの陰謀が渦巻く中、新たな戦いが始まろうとしていた・・・。
いねの今週のベスト・ショット

哲也と甘木って、互いにぶつかりあいながらも、ちゃんと信頼関係を築き上げてるんですよね。
お互い、しとめる相手が違うためか、それぞれの存在が邪魔に感じる時もあるけど、それをうまくフォローしあってますよね。
・・・にしても、哲也はかなり生意気な発言を甘木にする時があるから、それを受け止めてる甘木の方が、今のところ、一枚上手ってことかなぁ〜(笑)。その哲也と甘木の信頼関係を再確認することができたこのシーンが、今週のベスト・ショット!

警戒しながらセメント工場の中に入っていく哲也は、背後から拳銃を突きつけられた。
手をあげ、拳銃を渡し、ゆっくり振り返ると、そこには甘木の姿があった。
驚く哲也に、甘木は拳銃を向けた手を緩めない。
甘木は、「死ね。哲也」と暴言をはきながら、哲也に目線で敵の存在を知らせた。
互いにアイコンタクトを図り、甘木が手から落とした拳銃を、哲也は受け取る。
そして哲也と甘木は、敵に向かって反撃を始めたのだった。
おまけ

重役会議から戻ってきた哲也に対して、よそよそしい態度の部署のみんなに、「好きですから・・・。この会社も、みなさんも大丈夫です」と言った時の、哲也のくしゅってした顔、むちゃくちゃ かわいかったなぁ〜。 (*^-^*)
いねのもう少しだけ言わせて〜

やっと それぞれの陰謀が浮き彫りになってきましたね。
その中で、生き残るのは誰なのか、そして最後に笑うのは哲也なのか・・・
もしかしたら意外な結末が待ちうけてるかもしれないし、楽しみですね〜。
それから、行方がわからなくなってしまった石原の安否も気になります。
まさか 佐野の手によって、始末なんかされてないよね。(^^;


蘇える金狼